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古泉智浩の『オレは童貞じゃねえ!!』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

昇級審査

スポーツ

 道場で半年に一度の昇級審査がありました。

 去年の秋から新規の参加者が増えて、白帯の人がすごく増えていた。自分は白のすぐ上のオレンジ帯なので、これはうかうかしてられないと思い、次は青帯なのだが、更に上の黄帯までの型も覚えて審査に挑んだ。
 まず体力審査があり、拳立て伏せ、ジャンピングスクワット、腹筋を目標の階級の数をこなさなければならない。青帯は30回で、黄帯は40回だった。拳立て、ジャンピングスクワットは60回までやれた。ところが腹筋が痛恨の37回!

 普段から腹筋は肩甲骨を床から上げるだけの腰への負担がないやり方をしていたのだ。それなら百回でも二百回でもできるのだが……。拳立てやジャンピングスクワットはなんとか誤魔化しが効くのだが、審査は体をギッコンバッタンと起こして寝るタイプのもので、上がらなくなるともう完全に動けなくなった。しかし隣のSさんを見ると床に背中が着く前に上げ、ちょっとズルしていた。Sさんは初級を受けていた。

 基本稽古と移動稽古を全体で行い、黒帯の人がチェックする。後屈立ちの時に手の位置をすごく直されたがどう違っているのかよく分からなかった。

 型。下の階級の人から指定の型をやっていくのだが、先生が間違って白帯の後にオレンジ帯を飛ばして青と黄の人にやらせていたので、自分のやる型を事前に見る事ができた。そして、オレンジ帯がやることになったのだが、青の審査では体極1〜3、黄はヤンツーと平安1をやる。いざ、自分の番が来て、型を始めると、普段は何てことない動作なのに、やたらとしんどく体極3までですっかり息が上がってしまった。続けて希望者はヤンツーと平安1を彫師のNさんと一緒に受けたのだが、型もちょいと忘れてしまうくらい疲れて気持ちが悪くなった。一体どうしたことだろう。

 続けて組み手。子供からはじまった。普段は顔を掻きながら組み手をしている黄帯のHちゃんが試合さながらの激しい打撃を繰り出すのですっかり興奮した。女の子のIさんも大人の男に混じって果敢に渡り合っている。白帯の人ですら12月の試合に出ている人が何人もいて、その時は法事だったりタイミングが悪くオレは試合に出たことがない。試合に出て勝っていることも昇級の審査基準になっているらしいので、ここで一丁ガツンと決めなくてはならないと思った。オレはもう年長の方で今年はシニアに入るので、先生も気を使って白帯のFさんを当ててくれたようだった。
 思いっきり当てて行くと相手の打撃はローを太ももにもらったくらいで、こっちの順突きが何発もいい手ごたえでお腹を捕らえ、中段回し蹴りも二回か三回相手のわき腹に当たった。相手が初心者で単に脇のガードが甘かっただけだろう。
 普段のライトスパートは全くちがって、たったの1分間がひどく長く、「あと10秒!」の声が掛かると、「あとたったの10秒なら全力を出し切ろう」とは全然思わず「まだ10秒もあるの?もう嫌だ」としか思えなかった。終わると息が上がりすぎて気持ちが悪くなった。
 こんなたったの1分で音を上げる自分なのだが、今年47歳の茶帯のHさんは黒帯の審査で、それには10人組み手が課せられていた。45歳以上は一人40秒でいいのに、Hさんは若い人と同じ1分を望んで受けていた。オレはその9人目に当たることになった。
 Hさんは顔は年相応の老け具合なのに、引き締まったお腹に大胸筋がぱんと張って空手家として理想的な体型で、後姿は20代だった。
 9人目なのでいくらHさんとは言え消耗して来ていた。それまでの対戦を見ていると相手が後ろ回し蹴りなど大技を出すとそれに応えてHさんも繰り出していた。そんなのもらったらたまったものじゃないので、ひたすら小さく出して行こうと思った。最初にやった組み手では動作の際に息を吐くことを忘れていたので、それも気をつけた。細かく突きを中心に出していたら、9人目なお陰で割りと互角にやれたような気がした。
 どんな強い人でもスタミナが切れるとオレでもそこそこやれる!

 Hさんは見事10人との組み手をやりきった。オレは9番目で今日2回目の組み手だったにも関わらず、息が上がって更に気持ち悪くなり、眩暈がした。
 このように何しろスタミナが全然無いし、型もうろ覚え、腹筋は37回だった。青になれれば御の字だ。終わった後に白帯の人から「型は完璧でしたね」「組み手は動きがすごかったです」とお褒めの言葉を頂戴した。そう言われると自己評価との違いでうろたえてしまう。でも入ってほんの数ヶ月の人だからなーと思った。実際のところそこそこ強くなっているのだろうか。