古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

山形に行って来た

 すっかり告知するのも忘れていたのですが、第5回山形自主制作映像祭というイベントで2年前に作った『巨大戦闘メカ ガロハロ』という映画を上映していただいて、それに出席してまいりました。

 それから忘れないうちに告知をしますと、今週の金曜日に佐藤広一さん率いるあどりぶシアターの上映会でオレの『ゾンビの森』も上映していただく事となってます。オレは残念ながら新潟の『青春☆金属バット』上映の最終日なので行けませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

12月15日(金) 18:30開場 19:00開演
カフェ デ りぶる(山形市荒楯町1-12-30)
ワンドリンク付き800円

 『にいがたインディーズムービーフェスティバル』みたいなのかと思っていたら、そうではなくて、県内外の選考された約10本の作品を午後から夕方まで上映していました。なので全然拷問みたいなのではなく、お客さんは入場料800円を払ってわざわざ見に来てくれていたのでした。会場は300人を収容する巨大なホールでスクリーンも普通の映画館よりでかいのではないかというくらい立派でした。150人もの来場者がありました。パンフレットもえらくきちんとしたものでした。

 それを先に言ってくれ! そうやって見るとオレの映画のひどいのなんのって本当に申し訳ないゴミのようなものでありました。読者さんには免疫があったり、マンガ版と比較して楽しんでもらえたりするので、まあ甘えさせてもらっても平気かなと、それでもビクビクしてるわけですよ。それが、日曜日の昼下がりに小さなお子さんもいらっしゃる映画祭で……アンケートにもひどいとか、下手とか散々書かれておりました。まったく釈明できません。

 中山勇樹監督の『マッドメン』という作品がひどく面白くてゲラゲラ笑いました。木造アパートを舞台に繰り広げられる人造人間と博士の掛け合い漫才のようなやり取りがすごく面白かったです。東京ネットムービーフェスティバルでグランプリを受賞された作品だそうでした。

 そんな行事があったのですが、その日は偶然にも銀杏BOYZの峯田さんが実家の峯田電気でアコースティックソロライブと『恋と退屈』サイン会もありました。場所をヤフーの地図で見ると上映会の会場であるビッグウィングと山辺の峯田電気は10キロくらいしか離れていなかったので、ビッグウィングに行く前に寄ってみました。

 行くとお母さんと妹さんらしき人が峯田電気から出てくるところで「和伸さんにお世話になっている、新潟の古泉という者です」と言うと「2時から始まるから待っててね」と軽く門前払いされました。近くでマネージャーの斉藤さんが携帯で話していたので、「どうも!」と挨拶すると、峯田さんが同級生と話している峯田電気の2階の会議室のようなところに案内してくださった。「峯田のおどろく顔を撮りましょう」と斉藤さんがビデオカメラを回すのでドアが開いて峯田さんが出てきたところで「ばあ!」と驚かせたら、冷静に「ばあって……」と言われた。

 山辺駅の脇の駐車場の角に峯田電気の軽トラックが留められ、その上がステージでした。電気屋さんなので機材がやたらと充実していると思ったらミキサーは峯田さんのお父さんが調整してました。お父さんは『もうかりマンデー』で見た事があった人でした。峯田さんが音量が大きすぎないかと心配すると、お父さんは大丈夫だとアグレッシブに上げていました。音が柔らかく澄んでいてうっすらと反響して、ライブハウスよりいいと峯田さんが言いました。

 上映会が始まるので、ライブの前に会場に向かいました。峯田電気の後を継いでいる弟さんはオレの本を全部読んでいるとの事だったので車に積んであった『ところでここどこ』を1冊プレゼントしました。妹さんは、スピードワゴンの小沢がラジオで「かわいい」と絶賛していたので、気になっていたところですが本当にかわいかったです。弟さんも妹さんも峯田さんにそっくりでした。

 上映会の打ち上げでは、知ってる人が主催の佐藤さんしかいないので、そもそもの飲み会嫌いもあって、コップに残ったビールの水面に起こる波紋をただ見つめて過ごすことになったら嫌だなーと思っていました。ところが、山形の皆さんはけっこうオレのマンガを読んでいて下さって、本を取り出してサインと似顔絵を求めてくださるので、間が持つんだったらなんでもやらせていただく所存で一所懸命やりました。そうなるとオレも調子こいて、女子にも男子にもセクハラをしてからかって楽しくさせていただいた。

 主催の佐藤広一さんのお宅に泊めていただきました。佐藤さんは山形市の隣の天童市に住む映像作家で、天童市のテレビCMも手がけてました。昨年山形国際ムービーフェスティバルで受賞してスカラシップで予算が出て今年『隠し砦の鉄平君』という映画を撮り、それが現在蔦屋などでもレンタルで稼動しています。DVDも発売中です。佐藤さんのお宅は離れがあって、そこが映画作りの会合場所や友達が宿泊する施設となってました。こたつで弟の直樹さんと3人で話しているうちにうたた寝していたら、佐藤さんが布団を敷いてくれてました。

 朝、起きると弟さんが出勤の前に食事を急いでしているところで、お父さんとお母さんが朝食を進めてくださいました。うちは父が死んでかれこれ7年にもなり、年配のお父さんのような人と居間のコタツで食事をするなんて事はそれこそずっとなかったので、なんだかじんじんして涙が出そうでした。見ず知らずのこんな中年男を暖かく迎えてくださった佐藤一家にはどんなお礼をしたらいいのか分からないのでとりあえずお菓子を送ろうと思いました。

 朝食後、近所を一人で散歩したら道に迷って遭難しかけました。

 前から、友達や従兄弟が山形大学に進学したり、後藤真希ちゃんのコンサートで山形県民会館に行ったら隣のヲタが飴をくれたり、銀杏BOYZ阿部和重さんの出身地と言った事があり、山形には興味があったのですが、こうなって来るとますます関心が広がりました。峯田電気の周りや佐藤さんちのあたりは本当に、スカスカな田舎でオレはそういう景色が本当に落ち着く。うちから150キロくらいしか離れてないのに、高速がないから3時間も掛かります。何かあったらなるべく足を運んでみたいところです。