古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

中野武蔵野ホール レイトレイトショー

 確か、杉並の和田に住んでいた時だったので、1993年くらいだったでしょうか、仕事場で知り合ったチャッピーズの堀さんが自主映画のようなものに大変関心が深く、中野武蔵野ホールで開催されていたレイトレイトショーというイベントを教えてくださった。

 記憶が正しければ第3金曜日に正規のレイトショーが終わった後、自主映画を作っている人に上映も入場も無料で作品を掛けさせてくれるというイベントでした。そこでオレは松梨智子監督の作品を初めて見たりしました。『エビ天』が終わった後だったので、テレビでお見かけした映像作家さんもいらしていて、上映は4時くらいで終わって始発まで近くの居酒屋で飲み会をしてました。

 後に同じアパートに住んで一緒にバンドをやる丸目にも初めて会ったのもこのイベントだったような気がする。丸目は明治大学の映画研究会で8ミリ映画を作っていた。Vシネの『工業高校バレーボーイズ』を手がける広崎哲也監督も作品を上映していました。死ぬほど面白くない作品もよく掛かっていて、入り口の外で堀さんと喋っていたらスタッフの人に怒られました。

 まだ、当時は自主映画は今ほど手軽でなく、8ミリは手間が大変だし、ビデオはデジカメが三十万くらいして編集機も100万円くらいする時代でした。なので、マンガは金が全然掛からなくて本当によかったなーと思っておりました。

 なぜこんな話をしているかというと、先日のシネウインドのイベントの打ち上げで、シネウインド改装に当たってビデオ作品も上映できるようにプロジェクターも入れるのかと思っていたら、シネウインドの方針はフィルムにこだわる映画館を目指していて、プロジェクターを入れる予定はないとの事でした。プロジェクターがあれば杉作J太郎先生の映画も呼べるし、若手の貧乏な映画作家の人でも面白い作品があったら気軽に掛けられるじゃないですか。残念だなーと思いました。だったらオレが寄付すればいいんですけどね、そのうちヤフオクでお買い得なのがあったらしますよ。

 そしたら、オレがけっこう発言権を持てるかもしれないので、新潟万代シネウインド・レイトレイトショー、上映も入場も無料というイベントを企画しますよ。中野武蔵野ホールのイベントが10数年を経て新潟に復活するという、中野と新潟を結ぶなにか線ができるようなロマンを感じるじゃないですか。作品が集まらなかったらオレのこれまで撮ったのや、編集前のなどを上映します。自主映画は面白くないのがデフォルトなので、お金なんてもらうと緊張するじゃないですか。つまんない作品を見て文句を言うのも自主映画の楽しみの一つです。この辺の志の低さから改善しないといけないような気がしますが。

 そうは言っても、市民映画館を名乗る以上、そんなに食い合わせは悪くないと思います。そこからね、全国や全世界に名を馳せるような映画監督が出たら面白いじゃないですか。

 それから、チャッピーズの堀さんには有馬記念か何かでヒシアマゾンの単勝3千円分の馬券代を未だにずっと借りっぱなしなので、本当にお返ししたい。