古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

近況とお知らせ

 先月の末発売のアックス最新号では、『マンガ家監督万歳!』という特集で、映画を作るマンガ家として花くまゆうさくさんと対談させていただいております。花くまさんは、佐藤佐吉さんプロデュースの『そんな無茶な!』というオムニバス映画の中の『東京ゾンビ外伝』がこれから、公開されます。そんな立派な商業作品と同列に扱っていただくのも全く申し訳ない話なのですが、せっかくお誘いいただいたら、そりゃのこのこしゃしゃり出ますよ。これでも露出してなんぼの商売ですので! 気後れと厚かましさがせめぎ合い、結局随分図々しい発言をさせていただきました。これまで作った変な自主映画の画像をたっぷり掲載していただいております。

・『そんな無茶な!』公式サイト

 大林宣彦監督の『転校生 さよならあなた』が9月22日よりシネウインドでの上映が決定し、こんな目出度い事はないと言うことで、NAMARAの江口歩さんとトークショーをさせていただく事になりました。オレは転校生には並々ならぬ思い入れがありますからね。何度も何度もテレビで見ているわけじゃないですか、「もう見たよ、またか」なんて言いながらも見るとやっぱり面白くて、最後はじんと来て終わるとそんな事を何度も繰り返して来ています。ところが、ここ10年くらいテレビであんまり放映しなくなっているみたいですね。二十歳くらいの若者は見たことないって人がけっこういるようです。社会常識が変わってしまい、テレビ放映に不適格な側面がある事が原因ではないかと睨んでいます。そんな諸々を含めて、岡田斗司夫さん張りにあれこれ語ってみたいのですが、まあ無理ですけど、パロディで一冊本を出しているくらいですから、オレにもちょっとは引き出しあります。それにこれからネタも仕込んでいきますので、初日の最終上映の後という気楽な時間ですので、どうぞご来場いただけたらと思います。

 先日、アニメギガ押井守監督特集の7時間特番を録画したのを見たんですよ。いつも政治家をたじたじにさせている宮崎哲也さんが、「オレはビューティフルドリーマーでエンディングの歌が流れると泣いちゃうんだよね」とすごく優しい目をして語っていて衝撃を受けました。岡田斗司夫さんはご自身もアニメ制作に携わっていらしただけあって、構成や制作上の都合などで実に面白い分析をなさってました。あんなふうに面白く頭よさげに語れたらかっこいいじゃないですか。でも、まあオレは作家なので、そうできないですし、またなったらいけないという気もします。あんまり分析的に頭を使い過ぎると、創作での躍動感みたいなのを阻害するような気がするんですよね。元から大して躍動する話は作ってないですが、作家はバカで狂ってて恥さらしでないと面白くないですよね。そればっかりでも成立しないでうが、そうは言っても『転校生』トークショーは精一杯頑張ります。

 だんだん毎日映画見ないと気がすまなくなってきました。毎日は見れないですが、しばらく見れないと飢餓状態となります。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』月曜日の朝の11時からの回で見ました。シンジがグズグズする場面などダルイですが、でも重要じゃないですか。そこが映画の尺のせいか随分あっさりしていて、愚図っている割に物分りがいいような感じがしました。アクションシーンの迫力やかっこよさったら堪らないものがありました。映画として見たら、初めて見る人は登場人物が何をやっている人なのかさっぱり分からないんじゃないでしょうか。

・最近見た映画
『死亡遊戯』(★★)
『(秘)極楽紅弁天』(★★)
『セ−ラー服と機関銃』(★★)
『四畳半襖の裏張り』(★★)
トランスフォーマー』(★★★)
プロジェクトA』(★)
『柔道竜虎房』(★★)
仁義なき戦い 広島死闘編』(★★★★)
『(秘)色情めす市場』(★★★★★)
赤軍-P.F.L.P世界戦争宣言』(★)
『銀河系』(★)
『噴出祈願』(★★)
『四畳半襖の裏張り』(★★)
『PTU』(★★★)
『19歳の地図』(★★★)
『でんきくらげ』(★★)
フーリガン』(★★)
『ガキ帝国』(★★)
『ロストハイウェイ』(★★★)
ウォール街』(★★★★)
『デスプルーフ』(★★★★)
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(★★★)

 7月の20日くらいから現在までです。昔見なくて気になっていたもの、見たけど忘れているもの、自主映画の資料で見返したもの、普通に見たかったものです。★の数は見終わった時の作品の良し悪しや好き嫌いより、なんとなくな満足度です。

 ブルースリーの『死亡遊戯』はレンタル屋にあまり置いてなくて、メイキングの『死亡遊戯D.O.G.』ばっかりなんですよね。テレビで見たことしかなかったので、ちゃんと見てみました。ブルースリーの場面がすごく少なくて、いろいろな人がブルースリーをやっているので、本人がどんな顔だったのか段々分からなくなっていきます。きちんと話が出来ていなかった割に、こしらえた話が長く、かなり退屈でした。これなら確かに『D.O.G.』で充分だと思いました。
 
 『ロストハイウェイ』は『インランド・エンパイア』の予習で、見るのは2回目です。初めて見たときはとにかく分けが分からない印象以外、何の場面も覚えてなかったです。改めて見ると、ヤクザのボスが後ろから煽った車を追い込んで、交通道徳を述べながらボコボコにするなど、名場面がたくさんありました。後の『マルホランドドライブ』に繋がる、前半後半が別々の話で構成されてました。役者も二役をやっていたりなど、オレは人の顔の認識が苦手なので、ますます分けが分からなかったです。分からなくても面白かったですが、監督の意図として分かってもらいたい部分が分からないのは、作品を受け止め切れてない事なので、やっぱりよくないですよね。

 ずっと気になっていて見ていなかった『ウォール街』は、狂熱に侵されるような感じが堪らなく切なくすごくよかったです。ホリエモン村上ファンドがどういう思想で行動していたのかやっと分かったような気になりました。結末も二転三転してびっくりするし、『プラトーン』と同じくらい傑作じゃないでしょうか。