古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

ギブスに慣れた

 怪我してから1週間経ちました。足はひたすら上げるようにしていたらほとんどむくむことがなくなりました。夜も寝苦しくなく、コンクリートをゴリゴリ当てられている夢も見なくなって、痒みもおさまりました。掻くとますます痒くなるので、極力掻かないようにしていると収まります。冷やす必要もなくなりました。

 それでも筋トレするとパンパンに膨らむんだけど、その分、患部への負担が減って、痛みを感じなくなります。こんなのいいのかな。痛いのもむくむのも嫌だけど、患部が痛いほうが骨に悪そうだからいいのかな。

 むくむとどう体に悪いのか不明だったのですが、お医者さんに聴いたら、むくむと血流が悪くなって血栓ができる事があるそうです。やばいじゃないですか。血栓と言えば、血流で流されて脳に達すると脳梗塞を起こすとか、心臓で詰まって心臓麻痺になるとか確かそういうやつですよ。やっぱりむくみは怖かった。

 松葉杖も上達しました。けっこういい具合に体をぶら〜んとさせて、楽しく移動できます。そうは言っても、松葉杖は両手がふさがるので何かと不便です。ずっと使っていなかった肩掛けかばんを取り出してそれで病院行ったりしてます。ズボンのポケットが大きいととても便利。

 マンガ家なんて腕が動けば商売ができるだろうと思っていたんですが、ギブスで足を普通に椅子に座って下ろしているとパンパンにむくんでしまうので、机仕事が難しいです。イラストの仕事があったので、ハガキサイズだったけどA4の用紙に横の椅子に足を乗せてもものうえにスケッチブックを置いて、そこで線画を描いて、パソコンに取り込んで縮小して仕上げました。このやり方、線が細くなっていいかも。

 パソコンの作業は、ももにのせてやるわけにいかないので、足を横の椅子に乗せても体はそんなに寝せられないので、腰を変にひねるので痛いです。あんまり長時間できないです。負け惜しみっぽいけど、今あんまり仕事なくてよかった。これから先、直ったら増えて欲しい。

 どうにも我慢できなくなって、一昨日の深夜近所のワーナーに『悪人』を見てきました。土曜の夜中なのに駐車場が混んでいて車椅子マークのところにも堂々と停めている人がいる、てめえ絶対歩けるだろと思いました。エレベーターから結構離れたところに停めて、松葉杖で歩いてエレベーターに乗りました。困っことに深夜だというのにロビーはけっこうな人出で恥ずかしかった。「あの人歩けないのに『悪人』みたいんだ?どんだけ〜」と嘲笑されている被害妄想でいたたまれなかったです。よりにもよって7番スクリーンで廊下の最果てだった。見ている最中は前の座席に足を引っ掛けたり乗せたりして、むくみ対策しました。マナーが悪くて申し訳ないですが空いているし、大丈夫でした。でも久しぶりの映画館で興奮した。

 『悪人』は人生の厳しさが身に染みる映画で、怪我している時に見ると余計に味わい深かったですが、元気な時に見たほうがよかったかな。

 一人で出かけたけど対応できました。でも誰かいてくれると、チケットを買って来てもらえたり、エレベーターホールの前に降ろしてもらえるし、他にも何かちょっとしたことでも本当に助かります。しかもこれが東京で電車だったら一人での行動なんてもうはなから諦めなくてはならず、田舎のよさを実感します。よっぽど根性がないと難しいですよ。後で聞いたらイオンやアピタには貸し出し用の車椅子があるそうです。