古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

映画秘宝3月号ベスト&トホホ号発売中

 今年はアンケートの他に『トライセンデンス』のイラストでも参加させていただいている映画秘宝ベスト&トホホ号が発売となっております。これが毎年の楽しみで、自分のベストテンが総合にどれほど反映しているのか、自分の映画センスは映画秘宝的にどうなのか、非常に気になります。また、他のアンケート参加者の皆さんがどんなベストテンを上げているのかも超気になって、何時間見ていても全く飽きない。夢中になってついつい時間を費やしてしまう麻薬的な号です。

 

 

映画秘宝 2015年 03 月号 [雑誌]

映画秘宝 2015年 03 月号 [雑誌]

 

  

 興奮してTwitterでいろいろ書いていたんですが、連投しすぎも邪魔くさいのでブログにすることにしました。

 

 予想通り『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が一位でしたが、オレは以前にブログに書いたように、ストーリーが今一つでした。これがもし『スペースアドベンチャーコブラ』をハリウッドで製作だというならなんとなくハードルが下がって、ストーリーもあんな感じでも納得できて楽しめたように思うんですよね。

 

 自分の1位に推す映画をなんとしても総合のベストテンに食い込ませたいではないですか、しかしオレのベスト3、ベストテン圏外で力及ばずでした。30位以下じゃなくてよかったです。

 

 オレのベストテンは、それぞれのジャンルの中での1位を入れるような感じで構成していて、渋いアクション映画部門では『イコライザー』が1位だったため、ステイサム映画が外れてしまったわけです。そのくせ韓国映画部門からは2本選出しているんですが、それはどっちもストーリーが面白すぎて外せませんでした。

 

 実は、映画秘宝のアンケート締切の後で大傑作を見てしまい。ベストテンが変わってしまいました! アニメ部門は『アナと雪の女王』だったのが、早稲田松竹で見た『LEGOムービー』があまりに素晴らしく、入れ替えると同時に順位も変動しました。

 

古泉智浩の2014映画ベストテン(修正版)

①ジャージーボーイズ

イコライザー

オール・ユー・ニード・イズ・キル

④レッドファミリー

⑤夢は牛のお医者さん

LEGOムービー

⑦デンジャラス・バディ

⑧フューリー

⑨罪の手ざわり

⑩ファイ 悪魔に育てられた少年

 

  こうなりました。どれもオレが胸を張ってお勧めする10本です! 絶対見て欲しい!そして見たら感想教えて欲しい! 後から直すのは見苦しいですが全く申し訳ない。『LEGOムービー』は亀田のイオンでも上映していたんだけどついスルーしてしまった。ダイノジの大谷さんや岡田斗司夫さんが熱く推薦していたのに、基本的にCGアニメは苦手で、うかうかしているうちに見逃していたんですよね。早稲田松竹でスクリーンで見れてよかったです。テレビで見ていたら大後悔するほどの傑作でしたよ!

 

 そういうわけで、映画秘宝で発表しているんですが、川崎タカオさんとやっている映画の感想ラジオ三平映画館でも解説しています。下半期ベストテンもやってますよ!


三平映画館

 

明けましておめでとうございます

  今年もよろしくお願いします。

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 毎年年賀状を漫画にして知人に送りつけておりまして、それが1月中に送ればいいかなくらいにだらしなくなっていたのが、ここ3年はマンガ教室の課題で年賀状を漫画にしようというのを年末にやっているお陰で遅れなくなりました。マンガ教室では四コマ漫画だったものを1ページ漫画に直したのがこの漫画です。みんなもやってみよう!

 

 さて、年末はNHKBSで『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の一挙放送があって、録画したかったんだけど、オレが使っている録画機能付きのレグザは11月の映画が見終わっておらず、どれも消せない。三部作がどれも長いので9時間空けないといけなかった。最低でも4本は消さないといけない。レグザは容量が300Gしかなくて、高画質で録画していると12本くらいしか映画が録れないわけです。実はDVDレコーダーもあるんだけど、そっちは更にしょぼくて160Gでブルーレイも見れない。結局録画できなかった。でもこのシリーズは吹替えで見たいからまあいいんだけど、でもなんか悔しくて、いい加減文明人らしい生活がしたいと強く思った。吹替えで見たいけど、録画できるなら録画していた。

 

 そういうわけで今年は最低でも1Tでブルーレイも見れるレコーダーを買おうと思いました。実は頭に来て価格.comで注文しようとしたんだけど、銀行振り込みが5日まで休みで注文できなかった。

 

 私生活が忙しくなってしまって12月は2本しか録画できなかったし、11月の映画が10本も残っているんですよね。こんなレコーダーなんか買っても結局は録画しっぱなしで貯めに貯めるような気もする。実際300Gの容量に追われて頑張って見ているのがいいというのもあるんです。 

  なんでこんな突発的に買おうと思ったのは『ロード・オブ・ザ・リング』三部作が録れなかったというのもあるんだけど、安くてびっくりしたというのが大きいです。10万円なら当然買わないんだけど5万円切ってるもんね! オレが最初に買ったPanasonicのレコーダーなんか40Gで14万くらいした。それでも使い倒したので損したとは思わなかった。1Tでこんなに安い上にソニーのレコーダーも一度使ってみたいと思っていた。

 

 そいうわけで今年はどこかのタイミングでこのレコーダーを買います。もしかしたら5日に注文するかもしれない。

新弟子を募集します

 先日、弟子になって3年のムラタコウジ君が月刊スピリッツ連載中の『野球部のヒロコせんせい』で単行本デビューをしました! 漫画を描きはじめて3年での快挙です。今時、超能力もなければ宇宙人も出ないようなオーソドックスな学園漫画で、人気も上々で読者アンケート3位だそうです。素晴らしい! これは多分売れて来年か再来年ゴールデンのドラマになるんじゃないかな。 

 

 

 今年は他に、弟子の宮川さとし君は単行本が2冊も出て、そのうち『母が亡くなった時僕は遺骨を食べたいと思った』はなんと、『この漫画がすごい!』で40位以内に入る快挙を成し遂げました。NHKのアサイチで取り上げられたり、数多くの著名人がこぞって泣けると感想をツイートするほどの傑作です。 

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。 (BUNCH COMICS)

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。 (BUNCH COMICS)

 

 

東京百鬼夜行 1 (バンチコミックス)

東京百鬼夜行 1 (バンチコミックス)

 

 

 

 実はオレも単行本を今年は非常にこっそりと三冊出しております。 

 

 

  一門で合計6冊はかなりの華々しさ!

 

 そんな古泉一門は今、弟子が4人います。村田君と宮川くんは大活躍していて、元お笑い芸人のカワシマンは全然漫画を描かなくて、衣鳩久哉くんは原作で頑張っているんだけど会社員でもあり忙しくてもう1年くらい会っていません。そういうわけで、一門としての活動は月例のネタ出し会くらいなんだけど、宮川くんと村田くんは漫画が忙しなり、カワシマンは漫画を描かない。月例のネタ出し会もオレが釣りに熱中して後半ほとんど開催しなくなっておりました。村田くんの結婚式に出席したり、村田君には引越の手伝いをしてもらったり中野大喜利皇子に一緒に出たりしているものの、一門としての漫画の活動が非常に薄くなっております。しかし立派になって忙しくしてくれているのはいいことです。

 

 そういうわけで新弟子を3人くらい募集しようと思います。あんまり多いとガストの席に座れないので、オレを入れて4人くらいがちょうどいいのです。

 

 オレはこの通り、マンガ教室を3年半やって、そこからも新人賞受賞者を輩出していたりもして、漫画家の育成には自信を持っております。よく漫画は根性がないと務まらないという人がいますが、オレ自身全然根性がないので、要はモチベーションを維持することこそが重要なのではないかと考えております。今まで本当にぬるま湯みたいな漫画家活動なため、マンガ教室に来る人や弟子も、こんな調子でやればいいと解釈してくれているんだと思います。実際、漫画を描いて賞に応募して佳作を取るくらいはすぐさせてあげられると思っています。あんまり絵がひどいとダメだけど、分かりやすくてそこそこ面白ければ担当はすぐつきます。それから先はご本人次第じゃないかな。

 

 漫画も、ちょっとしたイラストを描いたりプラモを作ったり、セーターを編んだりといった日常の手作業や表現として誰でもできると思うようになりました。できないと思わない方がいいですよ。ただそれを続けていくのは適性があるんじゃないかな。誰でもやろうと思えばできるけど向き不向きは確実にあります。

 

 オレが新人だった頃オレより遥かに表現が上手で面白い漫画を描く新人が同期でいました。そんな彼は漫画を描くときは誰にも会えない、ノイローゼみたいになると言っていて、そんなきつくて大丈夫か、向いてないんじゃないかと思っていたらそのうち本当に描かなくなってしまいました。オレみたいに漫画を描いている人ばかりじゃなくて『鈴木先生』の武富健治さんや浅野いにおさんみたいに体調を壊してまで漫画に打ち込む人もいます。そういう皆さんにオレは本当に申し訳ない。ぬるま湯で好きな漫画しか描いてないぬるい漫画家は、それは確かに売れなくても仕方がない。しかし、魂から血が噴き出るような漫画家じゃないとダメかと言えばそういうわけでもない。オレだってそのうちそういう漫画を描くかもしれない。いや、でもやっぱり無理かもしれない。

 

 そういうわけで、オレの元で漫画を描く修業がしたいという人、ぜひ応募してください。お金は無料です。これまで6人弟子がいて3人は単行本デビューしているのでかなりの確率じゃないでしょうか。

 

 しかし誰でもいいというわけではなくちょっと条件はあります。

 

・誘いに応じてくれる人

・あんまりキャンセルしない人

・オレの漫画を読んだことがあり、漫画を好いてくれている

・漫画を描いたことがある

・東京近郊か新潟在住

・無口過ぎない

 

 漫画以外の活動にも参加してくれると嬉しいです。

・自主映画活動

大喜利など

・映画を見に行く

・釣り活動

モンスターハンター活動

 

 一門の活動はネタ出し会という、お互いの作品についてアイディアを出して創作の手伝いっこをするというのがメインです。月一で、3時間くらいします。師匠として何を教えるというのも実はあんまりなくて、嫌われたくないので説教もしないです。失敗や後悔はいろいろあるので、そういうことは教えます。

 

 それでは、ご応募お待ちしております!

 

(追記 1月2日)

 原作志望者は僕自身原作をしたことがないので不可です。漫画を描いた事がないという人は、10ページ以上の完成原稿を見せてください。作風によっては、やっぱり僕の意見が合わない場合もあります。5ページ漫画なら2本、2ページ漫画なら5本、四コマ漫画なら20本でもいいですよ。データでも可です。

 

 根性を問うのは好きではないのですが漫画は「描く描く」言っていても実際描かない人、描けない人がすごく多いので、完成原稿で一応のモチベーションを見させていただきます。マンガ教室で描いたネームを10ページ以上の完成原稿にしたものでもいいですよ。

 

 僕より年上は僕が威張れないので不可です。それからできれば若者を育成したいので、40代以上の方はご遠慮ください。

 

  後から条件を増やすのはルール違反な感じはするのですが、僕としてもきちんと漫画家として一人立ちするまで面倒みたいので完成原稿を見させてください。

さよならミラノ座『インターステラー』

 新宿歌舞伎町の巨大映画館ミラノ座が50年の歴史に幕を閉じるとのことで、せっかくなので現在上映中の『インターステラー』を見て来ました。『インターステラー』は新潟のTジョイで一度見て、非常にしみじみしたので、ミラノ座の最後で感傷に浸るのにちょうどいいなと思いました。

 

 ミラノ座と言えば、記憶では『ブレードランナー』のリバイバル上映、たしかディレクターズカット版や『七人の侍』のリバイバル上映を、90年代に見たような気がします。他にもいろいろ見たかもしれないし、『ブレードランナー』はミラノ2だったかもしれないし『七人の侍』も違う劇場だった可能性もあります。正直言って、見た映画館なんかいちいち覚えてないですね。そんなことを言ってしまうと台無しなのでミラノ座で見てとても感動したと自分としても思いこみたいわけです。

 

 それでミラノ座に来ることもこれが最後だろうと思って見た『インターステラー』ですが、クリストファー・ノーラン監督の悪い面がいつもより控え目で、面白い映画だったな~と思った一度目と違って、いろいろ腑に落ちない点が見えて来て感傷に浸りたかったのにモヤモヤしてしまいました。

 

 ここからネタバレします!! 見てない方は読まないように!

 

・一回目の感想


「しみじみとした味わい」インターステラー 古泉智浩さんの映画レビュー(ネタバレ) - 映画.com

 

 クリストファー・ノーラン監督と言えば、独自ルール問題がいつもあるわけです。オレが認定しているだけですが、とにかく主人公に困難をもたらすために、独自の世界で独自に通用するルールが存在して、それに主人公が挑まなければならない状況です。『インセプション』では夢には何層もあって、その層が深くなればなるほど大変になるとか、そういうのが当たり前みたいに語られます。ある人物の夢にエージェントが何人も入って行って、夢のなかをいじくることで、その人物に特定の行動をさせるというのが目的です。そんなルール知った事ではないし、この世界には催眠術という便利な技術があることを無視してそんな世界観を語られても、付き合いきれないとしか思えない。『ダークナイト・ライジング』でもバットマンが穴を這い登らなければならない理由に独自ルールを感じた。

 

 とにかく、なんでノーラン監督が勝手に考えた世界の困難に主人公が頑張って挑まなければならないのか、それを応援しなければならないのか、ノーラン監督のさじ加減だけの問題なので、主人公を応援するより、ノーラン監督に文句を言った方がはやいじゃないかと毎回思う。

 

 『インターステラー』もノーラン監督のさじ加減で決定されている、宇宙での時間の流れ問題が一回目に見た時も気になったのだが、2回目はますます気になった。黒人の宇宙飛行士が波の惑星で宇宙船で23年も待たされて、すっかり初老になっていて、なんでコールドスリープしなかったのかと聞かれて「帰って来ないと困るから」と力なく答えていてとてもかわいそうだった。でもその問題は主人公が自分の娘と再会した時に老衰寸前のおばあさんになっていたのがとても切ないながらも、親子の深いつながりが感じられてよかった。

 

 それより気になったのが、決死の覚悟でブラックホールに飛び込んでそこで測定した結果を伝えて、娘がだれも解明できなかった数式を解いた問題だ。その数式がその後なんの役に立ったのか何も描かれていなかった。数学や宇宙に人生のすべてを掛けてそれまで恋愛もしたことなく45歳くらいになるまで多分処女だったんじゃないかな、そんな彼女が大喜びしてキスまでしたのにその後それがどう役に立ったのか不明だった。

 

 あと、未来人だか宇宙人だか、未来宇宙人だかが、主人公のマシュー・マコノヒーと娘を連絡させようとして、娘の自室の本棚の裏に行かせてくれる。そこで特定の本を落としてモールス信号をしたり、バイナリという何かの暗号を伝えたりする。宇宙人だか未来人、だったら部屋の内側に案内しろよ。なんだそのいらない苦労!と思った。

 

 それも全部ノーラン監督の、数式とかブラックホールとか相対性理論とか、モールス信号とかバイナリとかオレが知らねえと思って小難しいのをちらつかせてバカにしている感じがした。どうせ分からねえよ。客をバカにすんじゃねえ!

 

 ノーラン監督映画は気になるところがあったとしても、1回でやめておいた方がいいと思います。『ダークナイト』だけは何回見ても面白い。

 

 そういうわけでせっかくの最後のミラノ座だったのに全く感傷に浸るどころかモヤモヤが残った。その後、歌舞伎町の入り口のセブンでお金をおろそうとして前の人を待っていて、その間に財布からカードを取り出していたら、前の人がけっこういろいろやっていて長くて、ノーラン監督に小ばかにされている感じにイライラしていたら無意識のうちに財布をポケットに戻していた。順番が来てキャッシュディスペンサーで財布からキャッシュカードを取り出そうとしたらカードがない。オレのカードはクレジット機能も付いたカードなので人に盗られたら大変な事になってしまう。考え事をしているうちに手を滑らせて落として財布だけポケットに戻していたのだろうか。場所が歌舞伎町なだけに回りの人が金に困った風俗嬢やポン引き、食い詰めたホストに思えて慌てて銀行に連絡してカードを止めた。幸い使用された形跡がなく安心した。しかし財布には千円しかお金がなくて心細い気持ちになった。

 

 翌日は小学館の忘年会だったのだが、お金もないしその次の日は猛吹雪になるとの予報だったし、銀行に再発行の手続きに行きたかったので忘年会をキャンセルして新潟に帰った。部屋着のフリースを着たらポケットにキャッシュカードが入っていたのだった。ノーラン監督のせいでとんでもない目に会ってますます嫌いになった。

日本海わくわく映像 ささやか映画ワークショップ3

 これまで2回ワークショップを開催して、毎回天候に恵まれず、大寒波が訪れたり、台風で撮影の日程が延び延びになるなどが恒例だったのですが、新たに「開催が終わる度に参加者が一人ずつ上京してしまう」という現象にも気づきました。元々少ない参加者なのに! そんな日本海わくわく映像ですが、毎回そういった困難とも戦いながらも第3回ささやか映画ワークショップを開催することとなりました。

 

 これがどんなワークショップかというと、「カメラを買ったはいいけど特に何の使い道もない」「自主映画をちょっと作ってみたい」と言った人に、ささやかな自主映画を作っていただくというものです。長くても5分以内で、いろいろ上手にできなかったことも含めて上映会で解説付きで上映するというものです。4回の日程で2本ずつ製作していただきます。カメラはスマホでも大丈夫です。

 

 そんなに難しい事はしません。ぜひとも奮ってご参加ください!

 

・日程

11月29日(土)東区プラザホール 持ち時間30分、5カット以内で、1~2分の作品を撮影
11月30日(日)東区プラザホール 前日の撮影分の上映、企画のディスカッション
12月6日(土)古町 シナリオのディスカッション、撮影準備
12月13日(土)古町 持ち時間1時間で5分以内の作品を撮影

時間はいずれも13:00~17:00です。

 

・料金

3,000円(会場代など)

非営利団体なので報酬はいただいておりません。

 

・定員

10名 

 

・お申込み

メール:atyclblove@yahoo.co.jp 

電話:080-4402-8672(宇佐美)

このブログのコメントでも受け付けております。

 

 


亀田跨線橋の番人 - YouTube

去年のワークショップで作りました。本当は5分以内ですが、ロングバージョンで9分あります。

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チラシです。

 

池袋マンガ教室が変わった

 毎月第2・4日曜日に開催している池袋マンガ教室は、毎回発想の練習でディスカッションをして、それを元に漫画を描くのが宿題でした。今回のテーマが「モチベーション」で、モチベーションを上げるためには締切が非常に高い効果があることをお話させていただいて、他にもいろいろあるんだけど、とにかく締切効果を検証することも含めて、初めての試みでディスカッションの直後に4コマ漫画を20分で描いていただいた。すると、締切と言うのは絶大な効果があるもので、皆さんきちんと対応して描いてくださった。


池袋コミュニティ・カレッジ | セブンカルチャーネットワーク

 

 これまでも冒頭20分は遅刻してくる人を待つ意味もあって、僕が2コマ埋めた4コマ漫画の残りを埋めていただく、という課題をしていただいていて、遅れて来た人も慌てて5分くらいで完成させることもあり、それにも締切の威力の凄さを実感していました。今回、ディスカッションの漫画は全部のコマを自力で埋めないといけないので、果たしてどうだろう?と思っていたら皆さん、しっかり取り組んでくださって、びっくりしました。宿題だと2週間のうちにディスカッションの内容を忘れてしまうこともあるので、新鮮なうちにネームを描くのもよかったのかもしれない。

 

 今回は参加が6人で、3人ずつの班に分かれてディスカッションしていただいた。班分けするとディスカッションは、全員の話が聞けなくなるのでちょっとつまらないんだけど、生徒さんにとってメリットが高いのは、少人数でも即座に4コマ漫画を構成することかなと思いました。

 

 描いていただいた、四コマ漫画のネームはその場で講評して、宿題は、更にそれを上手に描き直したり、ディスカッションで話した他の題材をもう一本仕上げていただく、ということにしました。同じ内容も何度も描き直した方がやっぱりよくなるし、角度を変えて表現するのもすごくいいです。プロになったら、そんなに面白い発想がいくつもあるわけではなく、同じ題材を角度を変えて何度も描くなんてことはすごくありますからね。

 

 あんまり人数が多いと講評も時間が掛かって、できないかもしれないので、人数が多すぎない回はこの取り組みをしてみたいと思います。よりスパルタ式になったとも言えますが、スパルタ式にどんどん描いて慣れると漫画を描くのが楽になるからいいと思います。

 

 マンガ教室の宿題ができない人、僕も直前までやる気が起こらないので大体12:30くらいにコミカレに来て9階のテーブルのスペースで課題を作って、宿題の寸評をしています。あそこは飲食しながら使えるのでいいですよ。

ingressチュートリアル終了しました

 スマホgoogleの謹製端末nexus5であるのも何かの縁で、googleスマホゲームingressをしています。英語だったので最初はわけがわからなくて、一回やろうとしてやめていたんだけど、伊集院光さんがラジオで話していたのを聴いて日本語の説明も充実していて、またやってみました。ちょうど町の祭りがあった8月26日から始めたのかな。それでしばらく放置していて、カナザワ映画祭でせっかくだから記念にハックして、それから戻って本格的に始めました。

 

 青軍と緑軍に分かれて、拠点を線で結んで三角にして陣取り合戦をするゲームで、現実の駅や郵便局、町にある石碑や石像、変な看板などが拠点として登録されています。オレが住んでいる亀田は、元栗木川の公園に点々と石碑があって、亀田ファームと呼ばれています。東京の人は一駅手前で降りて、ウォーキングしながら健康的に楽しむというのがスタンダードだそうだけど、新潟では駅伝選手レベルでないとそんな楽しみ方はできないので、オレはもっぱら車です。ちょっと動いては路駐してアイドリングしながらやるため、エコドライブの真逆で高燃費運転で健康によくないどころか、環境にも財布にもまるでよくない。

 

 中野でもアパートを借りていて、以前からランニングはたまにやっていたので、ためしに組み合わせてやってみたらすごくよかった。1時間くらい、平均ペースは1キロ10分とかだけど、必死で走るため全然飽きなくてよかったです。本来の楽しみはこうなのかと実感しました。

 

 それで、今2周年記念か何かでポイント2倍キャンペーン中なため、この機会にレベル8になりたいと強く思いました。

 

 レベルによって使える道具が違って、特に武器はレベルが低いと威力が全然弱くて、どうしようもなかったです。レベル7になった時に、武器が強力になって驚いた。あと、自分の周囲の、力を及ぼす範囲を示す輪がでかくなって、敷地内の拠点に道から届くようになって嬉しかったです。武器が弱いと、敵の拠点を攻略するのに、大量の爆弾みたいなのを使って、それでもシールドが強いと泣く泣く諦めるなんてことになります。

 

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 レベル8は最上位なのでもうなんでも使えるわけです。レベル8になるまでを「チュートリアル」と呼ぶ文化があります。それ以前は戦力外ということなのでしょう。自分で敵の拠点を攻略できないため、味方が取りこぼしたのか、親切に空けていてくれたのか、リンクを貼れるところを見つけてノコノコ出かけてフィールドを作らせていただく、乞食やコソ泥のような活動をしていた。敵を攻めるにしても、なるべく弱いところや弱っているところを探して、叩くような雑魚戦術しかできず、非常に肩身が狭かったです。

 

 うちでingressのマップを見て、こことここが結べるぞ、この緑弱いぞ、なんてのを発見したら夜な夜な車で出かけて敵の拠点をやっつけたり、リンクを張ったりしてくるわけです。特に釣りに行けなかった日や雨の日はその埋め合わせでやってました。釣りの方が圧倒的に面白いので、そんなに気分が晴れるわけではないんですが。

 

 何が楽しいのか、実際のところただ意地になってやってるだけのような気もします。もしかしたらレベル8で目標がなくなって気が済んでしまうかもしれない。どう考えても釣りの方が面白いし、なんだったらモンスターハンター4Gの方が面白いかもしれない。ただ、漫画を描いて外が雨だと、全く一日外出せずに終わってしまうのは、精神衛生的によくない感じがするんですよね。雨が降っているのに釣具屋に出かけるのもますます釣りに行きたい気持ちが募るだけだし、釣具屋も買い物しない客なんか迷惑なだけだ。そんな時に外出するとたとえ車でぐるっと回るだけでも気分が違うわけです。あと、近くに住んでいながら立ち寄ったり足を踏み入れたりすることのない場所に行くのは、なんとなくだけどいい感じがします。

 

 レベル8ともなれば、弱い者いじめをしたり乞食やコソ泥みたいな真似をせず堂々と敵の拠点を攻略してガンガン領地を拡大してやれるはずです。今夜は仕事の最中なので、レベル8になったところで帰宅しましたが、明日からはレベル8の爆弾を豪快にぶっ放してその威力を確かめたいです!

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』祭りの輪に入れない

 今年見ておくべき映画ナンバー1であることは間違いない『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』がとても盛り上がっている。新潟は今週で公開が終わるから、見てない人は急いで見に行った方がいいよ。映画秘宝でも今年のベストワン取るんじゃないかな。

 

 そんな盛り上がりに水を差すようで非常に申し訳ないんだけど、オレは正直なところ、心の底からもろ手を挙げて面白いと思えなかった。去年の『パシフィック・リム』が二人操縦で、意識や記憶を共有してしまうというとても気持ち悪い設定がどうしても受け入れられなくて、あと、怪獣もさっぱり魅力的じゃなくて、ダメだった。今年の『GODZILLA』も人間ドラマのフォーカスのずれがどうしてもダメで、心の底から好きになれない。面白いところやいいところはたくさんあるんだけど、物語の根幹の部分がダメだとやっぱりダメだ。

 

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ロケット、友達が一人しかいないところ好きだ

 

 スターロードはとにかく気持ちのいい人物で、憧れるほどだったし、アライグマのロケットがすごく好き。キャラクターや音楽や、雰囲気はとにかく最高で、一回目見た時は期待しすぎ問題なのかなと思って、itunesでサントラを買って聞いて、映画秘宝の特集もじっくり読んでもう一回見に行ったら、やっぱりダメだった。苦手なところがとても分かって、自分の了見の狭さが嫌になるほどだった。

 

 ウィークエンド・シャッフルのムービーウォッチメンのコーナーで宇多丸さんも大絶賛。楽しそう。

 


【WOWOWぷらすと】ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが好き過ぎる!|W流

ダイノジの大谷さんや花くまゆうさくさんが熱く語っていらっしゃる。楽しそう。

 

 そんな楽しそうな祭りの輪にオレは入れない。寂しい。

 


新潟版49『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』: 三平映画館

初見の感想を南拓郎くんと語っております。やっぱり不満を漏らしている。

  

 そういうわけでもう皆さん『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は見てますよね。ここからネタバレですよ~。

 

 

 

・ストーリーがあんまり面白くない

 超巨大な力が手に入る玉を奪い合うんだけど、そんな万能の力なんて信じられないし、玉を取り合うような話も苦手だ。『スターウォーズ』が引き合いに出されて語られるけど、スターウォーズ』は戦争が舞台なので、争い事として全然すんなり腑に落ちる。せめて金の奪い合いの方が断然グッとくる。

 

・負け犬感が足りない

 主人公チームの5人は「オレたちは負け犬だ」と語るのだが、みんな各々勇敢で命知らずで、能力も高く、自由だ。オレには、まばゆく見えるほどで、全然額面通り受け取れない。もっとせこくてどうしようもないクズがよかった。

 

・敵が気の毒に見える

 敵の怖い顔の人、暗い宇宙船で威張っているけど、虚勢を張っているようにしか見えず、玉を手に入れて惑星ザンダーを破壊したがっていたのだが、破壊してその人にそれほどメリットがあるように思えなかった。ザンダーの地表に立って、その場にいる人に演説を始めるのだが、ザンダーの代表でもないその辺にいる人に対して何をやってんだろうと思った。かわいそうな感じしかしない。孤独でひねくれて、精一杯虚勢を張っている気の毒な人だ。スターロードか誰か話を聞いてあげて!

 敵を思いっきり憎らしく思えないのが物足りなかった。

 

・ロケットの行動に納得がいかない

 どんな事情があるのか、アライグマの姿にさせられているロケットと言う登場人物が、機械改造の能力や作戦立案の能力が非常に高くて、しかも性格が非情で自己中心的でとてもかっこいい。そんな彼が友情にほだされて、仲間になって巨悪と闘うのがすごく残念だった。そんな行動取らない人物だと勝手に思っていたのはオレなのだが、仲間に入るにしても、もうちょっと利己的な事情で協力して欲しかった。物語の流れに押し込まれているような感じもした。

 

・クライマックスのアクションが眠くなる

 ザンダー星の軍の飛行機が組み合わさってネット状になって敵の巨大戦が地上に落ちるのを食い止めようとするのは、どうせ破られるんだろうなとしか思えず、破れた時もほらねって感じだった。もうちょっと、もしかしたらうまくいくんじゃないかと思わせるような何かがあって欲しかった。全体的にスリルが足りず2回目は本当にウトウトしてしまった。

 

 とにかく思うのは、オレはもうピュアじゃなく、欲張りで不平不満が多い。もっと素直にいろいろ楽しめた方が人生がずっと豊かに過ごせるはずだ。こんなお祭り的に盛り上がっている楽しい映画で余計に寂しい思いをせずに済む。

 

 こんなオレのひねくれ文章に惑わされず、まだ見ていない人は絶対に見た方がいいですよ。

釣りは筋トレの代わりにならない

 すっかり釣りに夢中で、今日なんか台風が来ているので波が5メートルもあるとのことで、ちょっと海を見てくると言うと家族に猛反対される、それくらい海が気になってしかたがないんです。

 

 釣りのせいで体にまで影響が出始めております。釣をしていると、立ちっぱなしで2~3時間同じ動作を繰り返しているため、寝ているよりはずっといいのかもしれないけど、なんだか体が硬くなってきた。可動範囲が狭いせいではないでしょうか。

 

 釣り場が駐車場からけっこう距離のある場合が多く、よく歩きます。新潟は車社会なのでほとんど歩くことがなく、靴のヘリも靴底が減ってツルツルになって履き替えるということが全然ない。脱ぎ履きのやりすぎでかかとの上の部分がボロボロになって捨てるということが多いくらいです。歩くのが以前はつらくてつらくてすぐ疲れていたのがそうでもなくなった。

 

 原稿などが終わったりしたタイミングで、テンションが上がって筋トレに行ったり走ったりしていたのが、完全に釣り場に行きたくなってしまうため、すっかり筋トレをしなくなった。その代わりに家の懸垂マシーンで懸垂したり腹筋したり、ちょっと腕立てとかバーベルでデッドリフトを、風呂に入る前に気が向いた種目をほんの5分くらいしていた。

 

 そういうわけで運動離れをしておりました。

 

 スマホゲームのイングレスもやっていて、実際の町中にあるオブジェや駅や名所などがポータルというポイントになっていて、それを青軍と緑軍に分かれて陣取り合戦をするゲームです。新潟では夜中や早朝に車でぐるぐる回って進めているんだけど、東京の皆さんはウォーキングやランニングしながらとても健康的にやっている。しかもポータルがすごく多くて、新宿から高田馬場まで歩いたら5万ポイントくらい稼げて、とてもびっくりした。

 

 東京に昨日まで4泊していたんですが、中野のアパートはお風呂がないので、運動ついでに中野体育館でシャワーしました。更にそのついでにイングレスをランニングしながらやってみました。なにしろシャワーがないので、こういう時じゃないと走りながらできないんですよ。歩いていると誰かに陣地を盗られると思って気が気じゃないのが、走るとけっこうサクサク進められてよかったです。気が付くと1時間以上走ってました。ペースはゆっくりですけどね。

 

・イングレスしながらランニング

 

 それで、その後筋トレしたら、ベンチプレスが以前は50キロだったのが40キロ3セットがギリギリみたいな感じで、えらい落ちてました。考えてみたら2カ月ぶりだった。最近体が硬くなったせいか、股関節がコキコキなる。重要な危険の前触れでなければいいけど心配だ。ただ、何にも運動せずに部屋に閉じこもっていると体力も筋力も落ちて、本当につらいんだけど、筋力は落ちているものの、体力はそれほど落ちておらず、上がらないなりに、めまいがしたりへばったりはしなかった。

 

 歩いたり走ったりするのも、その前に柔軟してないと、余計に体が硬くなる印象があるんですよね。小さい動作で体を上下に振動させるじゃないですか、そのせいではないでしょうか。柔軟して筋トレして、柔軟してランニングする方がいいような気する。

 

 冬場は釣りがオフシーズンとなるので、多分筋トレまたやれるんじゃないかな。釣りは筋トレの代わりに全くならず、筋力は落ちるけど、歩いたり立ちっぱなしで何かやってるお陰か、体力は落ちてないみたいだった。イングレスは車でなく、ランニングでやると楽しく体力も養えます。

 

 

 

 

『シャイニング』の本当の怖さ

 今年もカナザワ映画祭に行って来ました。今年は過去の大傑作映画を爆音上映で見返してみようというコンセプトで、特に90年代後半は、映画館に行くことを控えていた時期で、ついレンタルビデオで済ましてしまったことを後悔していた作品、『スターシップ・トゥルーパーズ』や『ワイルド・アット・ハート』などを改めてスクリーンで見ることができて大感激しました。昨年末を締めくくる映画で『マッドマックス2』をDVDで見たのですが、ついでにそんなことしなきゃフレッシュな感覚でスクリーンで見れたのに!と更に後悔した。

 

 さて、そんな素晴らしいラインナップの中で、オレが映画館で初めて見たキューブリック作品『シャイニング』もあって、これは何度も見ているので、見なくてもいいかな、しかもその日は5本連続で見て、その5本目でもあってとても疲れてもいた。今回は映画のチケットを事前に指定で買っており、もし指定の券じゃなかったらパスしているところでした。

 

 しかも日本での公開バージョンと違って20分長いロングバージョンでした。多分、冒頭のホテルでの面接場面と、ホテル内を案内してもらうところが長くなっているんじゃないかな。近々見比べてみたいです。もしかしたら断酒会の場面と、子供に医者が往診する場面も増えているかもしれない。そんな場面のせいか、これまで見た『シャイニング』と若干違った印象を持ちました。

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 『シャイニング』について、ネタバレしますよ!!

 

 『シャイニング』は作家のジャック・ニコルソンが、雪山に閉ざされたホテルの管理人として奥さんと6歳くらいの息子と3人だけで5か月間暮らし、小説の執筆に専念しようとするけど、そういうしているうちに悪霊に取りつかれて狂って家族を殺そうとする話です。

 

 ジャック・ニコルソンは「本業は小説家で、でも食っていくために教師をしていた。作家に専念するために教師は辞めた。だからその仕事はオレに実にうってつけなんだ」と面接でホテルの人事の人に語ります。また、断酒会でも「本業は作家だけど、教師の片手間でやっている」というように言ってました。とにかく作家であると言いたくて仕方がないんですよ。でも、本を出してはいなさそうでした。当時はまだインターネットも全くなくて、自費出版という手段はあるものの、小説家を名乗るには出版社に認めてもらって出版してもらうしかない時代です。

 

 そして、山での暮らしが始まります。ジャック・ニコルソンは広いロビーのど真ん中の机にタイプライターを置き、バチバチとタイプライターを打って作業をします。時には2階の壁にボールを当てて一人キャッチボールで息抜きをします。タイプをバチバチ打っている時に妻が食事に呼ぶと、血相を変えて怒り狂う。

「オレが集中しているのが分からないのか!一回集中力が途切れると戻すのに大変な時間が掛かるんだぞ、アホが!」

「ごめんなさい!」

「いいか分かったらオレが、作業をしてる風の空気だったら絶対に声を掛けるな。分かったな」

「分かったわ、できたところまででいいからそのうち読ませてね」

 あまりの怒りように妻は怯えきっておりました。ジャック・ニコルソンの気持ちはオレも分かるんですよ。漫画の特にネームの作業は0から1を生み出すような苦しみがあって、その0から1にするために自分の創作の世界に没入しないといけなくて、そこに入るまではいろいろ迂回します。はっきり言うと嫌なんですよ。それでダラダラと寝たり起きたり、テレビを見たり、ネットを見たり、人の不幸を検索したりします。他者から見ると怠けているようにしか見えないことでしょう、それやその自覚がまたしんどさを増量する。だらけている最中も作品世界の事は常に意識しているので、何をやっても全然楽しくない。ジャック・ニコルソンも一人キャッチボールで全然楽しくなかったことでしょう。そうしてやっとの思いで孤独と向き合って創作世界に入れたと思ったとたん、どうでもいい用事で妻に邪魔されると頭に来るどころではないわけです。オレはネーム中は「精神病患者だと思って腫れもの扱いしてください」と常々お願いしています。ところがうちの妻は平常と変わらない調子で邪魔してくれるので、遠慮なくブチ切れてやるんですが!

 

 今回の上映、さすがに一日5本目と言うので、疲れて途中ウトウトしました。息子が熟女の悪霊に脅かされたり、ジャック・ニコルソンが狂っていく過程で、ホテルの悪霊とバーで酒をおごってもらったりする辺りウトウトしました。でもその辺は何度も見ているので大丈夫です。

 

 そうしてとうとうジャック・ニコルソンが本格的に狂って斧で本気で殺そうと家族を追いかけまわします。この演出が、爆音上映も相まって、まー怖い怖い!調子こいてはしゃいでいる時に、『バットマン』のジョーカーになっている時がありました。

 

 妻が逃げた先にロビーのタイプ机があって、これまで執筆していた紙束を見ます。するとそこには「仕事ばかりで遊びがない、ジャックはそのうち気が狂う」という一文を延々、段の組み方を変えて何枚も何枚も打っていた。小説など全く書いてなかった。

 

 ジャック・ニコルソンはこれまで作家を名乗っていたにもかかわらず一冊も出したことがない。もしかしたら1本も書き上げたことすらなかったかもしれない。今回こそ、本気で小説を書こうとしていたのでしょう。書きたい気持ちは存分にあった。5か月雪山で集中して書き上げる作品は傑作である事は間違いない、と自信満々だったはずで、ところが、実際に書き進めようとした途端、書けると思った小説は全く書けなかった。何を書いたらいいか分からず、書き方も分からなかった。書きたいものもなかったのかもしれない。しかし、妻には、オレは本当は作家だと言い続けていた。書けないことがばれるわけにはいかない。だから今日もタイプを打ち続けるしかない。もしそれがばれるくらいなら殺した方がましだ、と考えるに至ってしまったのではないでしょうか。

 

 しかも「仕事ばかりで遊びがない、ジャックはそのうち気が狂う」と打っていたはいいけど、実際小説なんかまったく書いてもおらず、仕事なんか0で100%遊びでしかないんですよ。全く楽しくない孤独で苦しいだけの作家ごっこです。それはもう狂っても仕方がない。悪霊にとっては付け入るスキがありありだし、悪霊なんかいなくても家族を殺しても仕方がない状況です。

 

 今はオレも漫画の仕事をさせてもらっているんだけど、そのうち出版社との取引がなくなり、描きたいものもなくなり、描けなくなる。しかし妻や家族にはそんなことを打ち明けられず、「オレは今とんでもなくすごい漫画を描いているところだ。これが完成したらみんなびっくりするんだぞ」と言い張って描いている振りをし続けるとしたら、それは相当きつい地獄です。

 

 ジャック・ニコルソンが家族を斧で追い回す時に、ジョーカーのように陽気にはしゃいでいる場面があったけど、それはもう隠す必要がないという開放感だったに違いない。

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 奥さんのシェリー・デュバル、目や口が大きくて怖がる顔がまた怖さを掻き立てます。まさに怖がるために生まれてきた顔!

 

 『シャイニング』は悪霊の描写もとても怖いけど、悪霊がいなくても恐ろしすぎる映画であることが分かりました。

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