古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

映画をまとめて3本見た

 急に時間に余裕ができたので、DVDを2本と映画館で1本、映画を見ました。

『理由』
 宮部みゆき原作、大林宣彦監督作品。
 高層マンションで起こった殺人事件を関係者や目撃者の証言をドキュメント風に撮影する場面と再現映像的な場面で構成し、事件が次第に浮き彫りになっていく。役者さんが普通に演技すれば普通に自然になりそうなところを、一般の人がドキュメンタリーで撮影されている風にぎこちなかったり、わざとらしかったりする感じを、不自然さを自然に演出し演技しているところに職人技を感じた。事件そのものは決して派手なものではなく、突飛なものでもないところが身近に起こりうる感じがして怖かった。隅から隅まで神経の行き届いた大変な充実作だった。3時間近くあったので途中で何度か休憩した。

『ウルトラマン』
 去年公開の劇場映画で、一番最初のウルトラマンの第1話を丹念に人間ドラマとして描こうとしていたのだが、脚本がバカっぽいのでせっかくの意図が台無しになっている感じがした。自衛隊の協力の下に製作されていたようだが、自衛隊がすごくバカっぽく表現されていて、いいのかなと思った。もうちょっと優秀な人が携わっていたらずっとよくなりそうなだけに惜しい。

ミュンヘン
 ミュンヘンオリンピックでのテロ事件から続く、報復テロの実話を元にした作品。テロリストや工作員なんて相当な訓練を積んだその道のエキスパートが任命されるものだと思っていたのだが、この映画の場合、普通のどうという事のないイスラエルの軍人(妻が妊婦)がある日突然、その業務を任命されてしまう。全くの無経験でもなんとか頑張ってテロ活動を行っていた。そういう場面はとてもドキドキしてよかったのだが、任務を解かれてからのまったりした場面がすごく長くてしんどかった。3時間近く上映時間があり、最後は盛り上がって終わってもらいたい。思想的に慎重なテーマを扱っているのでそういうわけには行かないのだろうか。