古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

オレのマンガは大半が不採用作品

 読みきりマンガが不採用となったのですが、よくよく考えてみたらオレのマンガは大半が不採用作品で、そんな不採用作品を拾って下さっているのが青林工藝舎であり、アックスなのであります。いくら感謝してもし尽くせません!

 単行本デビュー作となった『ジンバルロック』にしても連載が始まったのが98年で、その三年前くらいからネームを持ってあちこち持ち込んでは断られたり、「2話だけだったら」と言ったような扱いであった。
 更にその前にガロでのデビュー作も別の雑誌向けに描いた不採用作品で、ミルフィユに載っているマンガでネームが採用されて原稿を描いたのは『チェリーボーイ』だけだ。他のは『ジンバルロック』の連載が始まってから、不良在庫原稿を採用していただいたマンガと描き下ろしなのだ。

 『チェリーボーイズ』は、このようなえげつないテーマのマンガはどこも掲載してくれるわけがないと思ってアックスに向けて企画を立てた。本来アックスには他所での扱いが悪そうで、なおかつ本当に心底描きたいものを描かせていただきたいのだが、他所で通用すると思って立てた企画が全然通らずアックスで描かせていただくことになってしまう事が多い。本当に申し訳がない。
 『死んだ目をした少年』もネームの時点ではどこも扱ってもらえず、アックスで拾っていただいた。3つの出版社で断られた。
 単行本未収録の『友達ロボット』はスピリッツに読みきりとして掲載していただいたものだが、それも他所に向けて描いたネームで使ってもらえなかったもの。
 自費出版の『ピンクニップル』は採用されて描いたのだが、掲載時期が半年以上先でその先も未定で、原稿料もいつ頂けるのか不明だったので引っ込めて、他所もダメだったので自分で出版した。

 『転校生』がたまたま運良く奇跡が起こって採用されたに過ぎないのだ。

 原稿料がもらいたいのは山々だが、実家暮らしで車もある。低所得上等! よくよく原点に立ち返ってみるとオレはこうやってマンガを描いて来たわけなので、これからもその気持ちを忘れず、アックスに掲載してもらえ、さらには本まで出していただけることのありがたさを噛み締めてマンガを描いて行きたい!

 別に被害者面したいわけでも、不幸自慢をしたいわけでもありませんよ。こうして不採用になるのは己の不徳のいたすところが大いにあるわけです。正直なところ「ごちゃごちゃ言うんならボツでいいですわ」ってところもあるのです。こんなの編集者さんにしても付き合い辛いですよね。