実際、いくら必要なのか
格差社会やニートやフリーターの増加などの問題についていつも考えているのだが、先日、友人のZさんに年収どのくらいなのかと聞いてみた。
彼は30歳くらいの男性で、同じバイト先で何年も働いている。新潟なので、時給なんてほんの数百円であることは想像に難くない。そんな彼には社員にしてもらえないの?と聞いてみると「だるいからいいですよ」と答えるのであった。
Zさんの年収は100万弱とのことであった。えーっと思ったが、彼はファイル交換ソフトやネットオークションなどパソコンの達人なのでお金はいくらも使わずに楽しく暮らしているのであった。そもそも実家暮らしで、街に住んでいるから車も大して必要でなく、移動はいつも自転車で、そんな所得でありながら株式を売買し、貯金も何十万円もある。
わが身になぞらえて考えて見ると、去年は『転校生』バブルがあったお陰で、同世代の会社員くらいの所得があったのだが、例年は200万割れなんてざらで、年末にはすってんてんで終わって、また来年もがんばろーってなくらいで、今年もずっと『ライフ・イズ・デッド』を描いていて掲載が始まったばかりで金になるのはやっとこれからで、これまで大した所得もなく去年の稼ぎを食いつぶしている。でもまだ余裕はあり、以前は駐車料金すらケチっていたものを今は普通に駐車場を使います。
そうは言ってもオレも実家暮らしで、麻雀格闘倶楽部も辞めたので、東京への交通費が支出の大半となっている。ケチなアパートの家賃分くらい払っていて本当に忌々しい。好きに本や雑誌を買ってDVDを借りて映画を見て、道場の会費を払って、スカパーでPPVを買っても5万もあればお釣りが来る。コレクターでもないし、競馬も滅多にやらずやったとしても100円単位、好きなことの1位はラジオで、一食千円以上の食事はむしろ気分が悪くなる。ケチな生活しかしてないのでお金が全然掛からない。負け惜しみじゃなくて本当になんにも我慢してないよ。交通費以外で大きな出費はパソコンパーツ一式(8万)と母の洗濯機(7万)を買ったくらいです。
独身男性で生活にお金が掛かる人って、飲みに行くことが多いか、博打をするか、家賃が高いだけじゃないだろうか。車が趣味とかね。バイクが趣味ならせいぜい数十万だけど、車は天井がないから大変だ。オレはもう家賃なんて絶対に払いたくない。もったいない。東京に住んでいた時は、大家に直で手渡しで払っていて、そのたびに腸が煮えくり返る思いがしたものだ。東京で一人暮らしなんて楽しいけどでももう、年も年でそんなに遊ぶ暇や情熱も枯れて来ていて、もったいないからいいです。
姉歯被告は愛人のスナックに6万円、愛人にお金を15万円払っていたそうだ。それは大変だ。しかし愛人を囲うにしては安いのではないだろうか。最近あんまり聞かなくなったけど年収300万を目安として、所得と支出について考えてみたい。
結婚して家族を養うとしたらどのくらい必要なのだろう。そうは言っても家賃がなければ、年収300万もあれば足りるのではないだろうか。世のお父さんたちはお小遣い2万とか3万円とか、涙ぐましい話をよく聞く。気の毒でしかたがないのだが、彼らはそんなに稼ぎが乏しいのだろうか。奥さんに騙されてはいないのか。本当に2万や3万のお小遣いでやっていけるのだろうか。いい年こいた大人の男が飲みに行ったら3千円や5千円では済まないのではないだろうか。部下に対して「今月お小遣いもうないんだよね〜」なんて言って断ったりするのだろうか。
東京で家賃払って家族を養って300万ならそれはそれは大変だと想像できる。家賃だけでも10万は見ておかないといけないだろうし、とてもじゃないけど無理だ。しかし、子供をいくつも塾に通わせて、私立の学校に行かせてお金がないと言うのは、言い方が間違っていると思う。あったりまえじゃん。しかしそれが田舎だったら、実家でなくとも家賃が半分以下になるので、どうにか家族を養うこともできるはず。なにが言いたいかと言うと本当に家賃が嫌い。暮らすだけで何万も巻き上げられるのが永遠に近い形で継続する。それを他に使ったり、プールしたりすればどれだけ有意義か。何百万、何千万という単位の問題だ。
実家がいかに素晴らしいかを述べたのだが、実家の不利な点は、異性を連れ込みづらいということが非常に大きい。「うちちょっと寄っていかない?」と言うのと「あの、その、一緒にラブホ行きませんか」では20倍くらいの難易度がある。実家暮らしの独身男性の童貞率についての統計はないのだろうか。冒頭の友人のZさんも前のオリンピックからセックスをしていないと語っていたが、このたび彼女ができたそうであります。よかったね。
金が掛からないのはいいことで、しかしそれは国民消費に反する行為で、生活苦はなくても景気が冷えてしまうと全体的によくないのも事実。オレやZさんみたいな人が増えるのもよくないのであろう。こうして検討すればするほど稼ぎよりも昼寝という現在の方針を固持したくなる。実際いくら必要なのかというと、東京への出張を考えても、それでも200万もあれば充分ではなかろうか。でも本は売れて欲しいと強く願う。本が売れないと信用がなくなって、次の本の出版が危うくなってしまうので。