古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

日本は怖ろしい国だ

 『ザ・バンク』という映画を見ました。どえらく渋いサスペンス映画で銀行の不正を摘発しようとする捜査官が主人公で、証人が殺されたり暗殺者を追っかけたり兵器産業がからんだり、題材がややこしい割にはストーリーがシンプルでアクションの見せ場もとても迫力があって面白い映画でした。この映画の中で、犯人一味が言うのです「オレを捕まえても裁判まで持っていけないぞ」と。でも、これを見てアメリカはまだまだ裁判が信頼されているのだとうらやましくなりました。

 DNA鑑定で幼女殺人で服役していた人が、どうやら犯人じゃないらしい事が判明したそうじゃないですか。うろ覚えなので、適当な記憶で書きますが、栃木や茨木で連続幼女誘拐殺人事件が15年くらい前から発生していて、その一環の事件として犯人が逮捕されたんだったと思います。でもその連続幼女誘拐事件は、その容疑者が逮捕された後も起こっていたんじゃなかったでしたっけ。それで、その容疑者が犯人でないとするアリバイもあったけど、裁判で証拠として採用されなかったんだったと思います。『報道特集』か『サンデープロジェクト』で見たように思うのですが、定かでありません。

 それで何が言いたいかと言うと、検察に起訴された場合99%有罪になるというじゃないですか。裁判所が検察とグルでまともに裁判をやる気がさっぱりないんです。それというのも検察と裁判所が人材を行ったり来たりさせていて、お互い身内みたいになっているのが大きな原因のひとつであるみたいな感じなんですよ。

 なので、『ザ・バンク』のように捜査官が頑張って証拠を上げても、いろいろグルだから日本では多分裁判に持ち込むことすらできないんですよ多分。本当に残念です。それにアメリカでは検察が抑えた証拠を裁判で開示しないと法律違反で罰せられるのに、日本の検察は検察に不利な証拠は出さなくても何にも問題ないのです。検察も裁判所も真実を追究するよりも、面子を保つとか有罪率を維持する事が大事なようなのです。

 おかしいよね。だって、関係ない人を逮捕して有罪にして服役させてたら、真犯人が野放しじゃないですか。ダメだよね。なんでこんな事になってんの?残念すぎるんですけど。検察も裁判所ももうちょっと真面目に仕事してくれないと困ります。自分たちだって薄々違うんじゃないかと分かっているのにそのまま進めてしまっているんですよ。それに検察や裁判所に睨まれたら、本当にどんなでっちあげでも全く通用する仕組みです。『報道特集』や『サンプロ』のスタッフの皆さんは大丈夫なのでしょうか。本当に心配です。

 先日、痴漢冤罪事件が最高裁判所で無罪判決になりました。本当に画期的なことらしいです。オレは裁判員になりたくてなりたくて仕方がないのですが、もし裁判員になったらその証拠はどうなってるんですか、とギャンギャン言ってやろうと思います。でも、現状では限られた証拠しか提示されないらしいです。今週のサンプロの受け売りですが、取調室の可視化と証拠の全面開示は絶対必要だと思います。

 こういうのもずっと政権交代がないのが原因なのでしょうか。世の中は良くなる方向に向かっているのでしょうか。問題点は改善されないまま放置されずぎなような気がします。政権が変わると、失った方はもっと良い政策をしないと当選させてもらえないから頑張ろうとなって、そうやっているうちにだんだんいい世の中になると思うのですが、合ってますでしょうか。