古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

実は面白かったDynamite!!

 大晦日にTBS系列で中継があった格闘技イベントDynamite!!は、魔裟斗の引退試合石井慧のデビュー戦、戦極とDREAMの対抗戦、K-1甲子園、スーパーハルクトーナメント決勝と非常に盛りだくさんだった割に、魔裟斗と石井だけをやたらと盛り上げようとしているような印象があって、魔裟斗の過去のK-1の試合を何本も放送して、いつ面白いのがあるのかさっぱり分からないような感じでした。

 その中継をオレが見た印象では石井がすかっと勝たないどころかアップアップな試合で、判定負けだったり、魔裟斗が案外普通のちょっと退屈ないい試合をして、結局K-1甲子園が一番面白かったように思いました。戦極とDREAMの対抗戦に至ってはダイジェストみたいな扱いだったと感じました。後に大問題になった青木の腕折と指立ては、人差し指を立てて騒いでいるのかと思っていました。

 ところが、中継が終わった後に放送されたスカパーのPPVを見ると相当に面白い大会だったことが判明したのです。放送時間はなんと8時間!勘弁して〜。

・K-1甲子園は面白かった。特に野いり選手とHIROYA選手の試合がとても面白かった。
・戦極とDREAMの対抗戦がしっかり盛り上がっていた。でも対抗戦なのに、星取り表みたいなのが全くないので、どっちが勝っているのか途中で分からなくなった。
・青木選手は中指立てをした後、相手や相手のセコンドに軽く挨拶して、すぐに退場した。そんなに問題風な雰囲気ではなかった。
・石井選手の試合を改めて見ると、序盤はかっこよくパンチを出していた。後半も頑張って戦っていた。
・石井選手の「子供の時は運動が苦手だった」という煽り映像がPPVではなかった。
・柔道の達人同士がノールールで戦うと殴りあいになる。柔道のつかみはパンチに匹敵するほど素早いと『ホーリーランド』で読んだ記憶があるけど、MMAではつかみの打撃より、打撃練習をした打撃が用いられる。
・魔裟斗選手の試合は結末を締めくくるにふさわしい熱戦だった。
・川尻選手の試合、ゲガールムサシ選手の試合など、地上波で放送されなかった試合も面白かった。
・でも17試合はやっぱり多い。

 一旦、地上波中継を見てあんまり面白くなかったという印象を抱いたせいか、改めてPPVで大会全体を見たら意外なほど面白く、熱い戦いが繰り広げられていました。TBSの変な中継のやり方のせいで、大会全体が面白くない印象になってしまったのではないかと思います。

 とは言え、TBSの中継がなかったら大会自体が開催されていたかどうかも分かりません。魔裟斗選手や山本KID選手の前の名勝負をダラダラ放送するのはやめた方がいいと思います。そこは面白い解説を入れながらダイジェストでやってくれたら盛り上がるし、みんなこれから始まる試合に注目すると思うんですよ。対抗戦ももうちょっと説明してくれないとわけが分からないですよ。これまでどっちの大会も全部見ているオレですら、この選手は前にどんな試合していたっけな?とさっぱり思い出せない選手もいたわけです。それはPPVにも言えることですが。

 盛りすぎなんじゃいでしょうか。対抗戦か、魔裟斗か、石井で絞って中継したらいいと思います。例えばUFCの中継はメインがランディクートゥアー対ブロックレスナーですよってなったら、他の試合は淡々と放送して最後にドーン!とメインがあって、それで問題なく充分面白いわけですよ。TBSの格闘技中継は、やたらと過去の試合を挟んでいて、そんなに熱心じゃないお客さんはそれが今日の魔裟斗の試合だと思ってしまうと言いますよ。メインに至る手前の試合でも画面の脇に「この後、魔裟斗登場」なんて出ていて、いい加減にして欲しいです。他の試合も心を込めて放送しろよ、悲しくなるだろ。どうなんですか、今の中継であんまり熱心じゃないお客さんも面白いんですか? 大晦日だからってそんなに格闘技ずっと見ているのも飽きます。対抗戦で面白いのを3試合くらいと、K-1甲子園と石井選手と魔裟斗選手の試合をじっくりきめ細かい扱いで、3時間くらいの中継にまとめたらどうでしょう。

 実はいい大会で、面白い試合がたくさんあったので、DVDが出たらぜひ見ることをお薦めします!