古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

ポーラーサークル『未知なる漫画家オムニバス』上映終了

 5日間の上映では、とてもたくさんのお客様にいらしていただけて、目標人数の7割増しくらいになり、ヒットと言っていい水準でした! 本当にありがとうございました!! 内容についての評判も上々でした。集客も評価もまあそれはオレは非常に貢献あんまりできなかったんじゃないかと思うのですが、特にマンガ教室の皆さんいらしてくださってありがとうございました!!

 

 自分としての反省があります。今回はSFオムニバスということで、テーマがSFでした。企画を早急に立ち上げなくてはならず、何かSFで撮れそうなものあったかなと思い返して、当時ブレイクマックスで連載していた『古泉智浩劇場』というアイドル妄想漫画で、篠崎愛ちゃんについて描いたものが宇宙人が出てくるし、撮りやすそうということでそれを映画化することにしました。無数のショートムービーや短編映画を作っていて、映像作品をコミカライズすることはあったのですが、漫画を映像化することは初めてでした。そういうわけでオレの『O星人来襲』は原作漫画が存在します。

 

 篠崎愛ちゃん主演で映画化することは不可能なので、厳密には絶対に不可能とは言い切れませんが、実際そんな予算や交渉する手間を掛けるのは嫌で、しかも特撮の都合で主演はそんなに巨乳にするわけにはいきませんでした。そしてオレは知っている人と一緒に映画を作りたいので、よるひる映研でお世話になっているピョコタン、モリミキさん、タイム涼介さんに主だったキャストをお願いしました。そのピョコタンの演技が実に評価が高くて、オレもとても面白かったので納得でしたが、びっくりしました。噛んでいることが評価されるとは。

 

 結果的に、漫画が原作かどうかは分からないのですが、マンガのように作る事ができたような手ごたえを感じました。初めてカメラマンをお願いして監督に集中することができました。次回このような機会があったら、録音と三脚の人も日当を払ってお願いしたいです。

 

 それはそうとして、反省というのはきちんとSFに向き合ったかという問題です。コメディというかコント的な作りに逃げてしまった。一応宇宙人の行動にSF的な解釈を加えることができたというのは言い訳的にあるんだけど、もっときちんとサイエンスでフィクションなテーマに取り組んでみたかったという思いがあります。しかし、取り組んでみたいという思いがあるにはあるけど、それが何なのかは未だに思いついていない。

 

 『パシフィック・リム』の何が残念かと言うと、怪獣の行動原理が今一つ納得いかないところじゃないですか、怪獣を操っている宇宙人もアホかと思うわけです。人類なんかそっちのけで資源を回収すればいいようにしか思えない。『マトリックス』も確か人類の脳を発電用に使うためにカプセルで眠らせて仮想現実を見せているとかそんな内容だったと思うんだけど、は~あ?と思った。未来のあんな感じなら原発でもなんでもいいじゃないか。そういうわけで、ハリウッドの超大作映画であっても人類の危機を設定するために四苦八苦している。でもそれはお金をかけなくても知恵を絞れば解決できる段階の作業での失敗じゃないですか。

 

 論理的にちょっと難しくてでも気持ちがいいみたいなそういう腑に落ちるいい感じのSFを描きたい。何かテーマがあってそれを描きたいというのではないので、本末転倒な考えみたいですが、とにかくそういう気持ちなんですよね。『うる星やつら ビューティフルドリーマー』とか、ミステリー仕立てのSFですごく気持ちがよかった。

 

 先日、発表したSF映画ベストテンももっとSF的なテーマでじっくり考えるとまた違ったものになったはずです。そんなことを暗黒皇帝さんのブログを見て思いました。

 

2013-12-13 - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

  SFというテーマにきちんと向き合った素晴らしいエントリー。オレのベストテンが恥ずかしくなる。

 

 多分でも、SFはそういったシナリオの工夫で予算や撮影の大変さを克服できるテーマがあると思います。暗黒皇帝さんのベストテンを参考に勉強しよう。あと小難しい名作SF小説も読みたい気分です。