古泉智浩の『読書とお知らせ』

マンガ家の古泉智浩です。ココログより引越ししました。

にいがた映画塾初心者講座日曜日コースのご案内

 今年の1月からにいがた映画塾講座・実習コースというのを運営させていただいていて先月上映会をしました。ジュンク堂書店さんのカフェコーナーでの上映だったので、すぐ立ち去ったりする人もいるのかなと思っていたらかなり熱心にご鑑賞いただいておりました。60人くらいのお客様にご来場いただきました。

 時間の読み違えや、休み時間を長く取りすぎたりしたために時間切れで上映できなかった作品もありましたが、おおむねご好評いただいたように感じました。 そこで実習コースでのノウハウを活かして、今年の初心者講座の日曜日コースの運営をさせていただく事にしました。本当はオレも受講がしたいんですが、これまで6年受講していて、受講生の立場で意見を述べてもあんまり採用されず、歯がゆくて仕方がないのでやらせていただくことにしました。

 実習コースがとても面白かったんですよ。にいがた映画塾の講座では編集が卒業制作まで存在していなくて、ぶっつけで大掛かりな撮影をした上で初めて編集に取り組んでいました。これでは撮影で編集プランが立てられません。編集を想定した撮影ができないんですよ。編集で誤魔化すという手段があまり想定されていないのでなんでも映像で抑えないといけないという感じでとても効率が悪かったんです。なんで、編集を教えないかと言うとみんながパソコンや編集ソフトを持っているわけじゃないから、というのが理由でした。実際初心者講座はカメラも持っていない人が前提なので、仕方がないかと思っていました。でも、もう2009年で3万円くらいでデジカメが買えるんです。パソコンもOSがウィンドウズvistaなら標準で普通に使える動画編集機能があります。にいがた映画塾の皆さんが主に編集で使っているパソコンが2002年くらいのCPUが1Gや800MHZのマックで、当時は立派だったわけですが、ファイナルカットプロなので、初心者には厳しすぎる環境だったのです。それで編集を覚えるのは大変だとみんな口々に言うのですが、ソフトのややこしさについての指摘がありません。

 なので実習コースではカメラ持参での講座で開催しました。すると、みんな普通にサクサク撮影してサクサク編集していたわけなので、これまで映画塾で議論されていたものは一体なんだったのかと非常に虚しい気分になりました。少なくとも自主映画を作ろうなんて相当な気合が必要な作業です。それでパソコンもないカメラもない、手ぶらで戦場に向かうような事でいいのかと思います。でもそれはオレの理屈で、これまでの映画塾の流れも尊重しないといけないので、ウィンドウズパソコンを寄贈しました。パソコンがないという人も編集できるようにしておかないといけないですもんね。セレロンですがデュアルコアでCPUは2.9Gですよ。軽く3倍の性能です。

 にいがた映画塾が輩出した最大の大物映画人・佐藤広一さんが塾長に就任します。毎回山形からわざわざいらして下さいます。

 オレは初心者はオートで撮影した方がいいと思いますが、映画塾ではマニュアルでのチーム撮影を推奨しているのでそこはきちんと実習で学べるようにします。そこは佐藤監督が得意とすることなのでばっちりです。講座では佐藤監督作品を受講生が出演者やスタッフとなって撮影します。その撮影を通して各持ち場の役割やノウハウ、現場の段取りなどを学びます。そして作品が1本残るわけで、それもとてもいいじゃないですか。編集素材は受講生各自が持ち帰って編集します。

 でも、撮影なんて下手でも面白かったら作品は見れるじゃないですか。面白くないと撮影がどんなに立派でも全然見れないと思うんです。あくまでオレの意見ですよ。どう上手に撮影するかより、面白いのを撮影した方がずっと見れます。作品全体に対する貢献度で考えた場合、撮影の良し悪しなんて1割くらいじゃないですか。何が映っているか分からないとか激しく見づらいとかそういうのは論外ですよ。カメラの機能が素晴らしく向上しているので、そういうのはもうあんまりないと思います。むしろマニュアルにした方が初心者は失敗している場合が多いようにも思うんです。映画を作るというのはとても面倒な作業が山のようにあります。それを何もかも上手にやろうなんて初心者には難しいと思います。もちろんマニュアルでないと、被写体が動いて映像の明るさがジワジワ動いてしまってそれが嫌だという場合もあります。でもそれも、嫌かどうかなんて経験を積んだ後の話でいいと思うのです。

 確かにオレももう6年もやっていていいい加減フルオートの撮影ではうまく行かない事があり、場合によってはマニュアルで調整して撮影した方がいいというのが分かって来ました。でもね、やっぱりそういう必要性が分かってから知りたい覚えたいと思わないと全然頭に入らないんです。オレの場合ですよ。できればこの6年の間に、何かコンテストで受賞とかして世間に認められた上で、講座を運営する立場になりたかったです。

 とにかく、話は脱線しましたが、実習コースの皆さんはとても熱心に取り組んでくださって企画段階から活発な意見交換を行い、初心者が野放しで制作したような作品とはちょっと違っておりました。大傑作があったわけではないですが、よその自主映画の上映会でよく普通に見かけるようなみっともない空疎な作品は1本もなかったです。

 今回の初心者講座は受講料が3万円と非常に高く、オレは1万円くらいが妥当だと主張したのですが運営会議で聞き入れていただけませんでした。代わりにゲスト講師に村上賢司さん、福島諭さんをお呼びする回を設けます。それになんとか頑張って予算が余ったら返金できるようにしたいと思います。これまで6年受講して感じた部分を最大限活かして画期的な講座にするつもりです。新潟にご在住の自主映画に興味のある皆さん、ぜひとも受講してみて下さい!

・にいがた映画塾HP
こちらに詳しい案内があります